ミラによるCaS(Command at Sea)の記録

TheAdmiralTrilogyの本格海戦ゲームCommandAtSeaの記録です

CaSの舞台裏#2 〜ターンシークエンスの概説〜

こんにちは、ミラです。

前回の続きで、今度はCaSのターン進行について概説していきます。

 

このページの文字数は3200字程度です。

前回のページはこちら

CaSの舞台裏#1 〜艦艇情報と兵装情報〜

 

 

はじめに

前回は実際に青葉がシミュレーションに登場しましたので、今度はどのような手順でシミュレーションがすすんでいくのか、みていきましょう。

(今回は文章が長く、画像も少ないので読みづらいかもしれません。)

CaSのターン

ターンについて

CaSでは主に2種類のターンを使い分けてシミュレーションをすすめていきます。

その2種類とは、30分ごとを記録していく「中間ターン」と3分ごとを記録していく「戦術ターン」です。

そして一番重要なことは、どちらのプレイヤーも事前に計画を建て(プロッティングもしくはプロットといいます)それを同時に公開することで各ターンをすすめていきます。つまり、将棋や他のウォーゲームのようにどちらか一方がターンを終えたら、相手が行動するといった交互進行ではないので注意してください。

2種類のターンについては、どちらを採用するかはプレイヤーに委ねられています。また、中間ターン中であってもどちらかが敵を発見した時点でその後の行動をすべてキャンセルすることができます。原則として、どちらかの陣営が敵を発見した時点で戦術ターンに中間ターンを中断し、戦術ターンへ移行しますが、たとえば射程が短く砲撃できる距離まで30分より多くかかる場合は中間ターンを続けるのが良いでしょう。

◆ 蛇足コラム〜なぜ2種類もターンがあるのか〜 ◆ 2種類もターンがある理由ですが、ルールブックにもある通り、ターンの節約です。遠距離から3分ごとに艦艇やら航空機やらを進めていてはその処理だけで結構なターン数を使います。中間ターンが30分である理由は、「敵を発見して近づくまで(ゲーム内時間で)1時間かかるし、航空機の発進は準備に15分かかる」ので30分にしているということでしょう。この時間設定はかなり妥当なものであると感じるために実際にやってみて実感してほしいです。

 

2種類のターンは時間の尺の違いだけでなく、中間ターンは戦術ターンよりフェーズ数が少なくなっています。JumpStartには戦術ターンの解説しかありませんので、戦術ターンを中心にみていきます。

戦術ターンは1ターンで3分経過するターンです。戦術ターンは6つのフェーズにわかれています。内訳は次の通りです。

  1. 計画フェーズ
  2. 機動フェーズ
  3. 計画射撃フェーズ
  4. 探知フェーズ
  5. 応射フェーズ
  6. 解決フェーズ
計画フェーズについて

各プレイヤーは自陣営の全ての艦艇の計画をしていきます。内容としては、機動、攻撃を含めたほとんどの艦艇の行動は事前に計画されていなければなりません。逆をいうと計画されていなかった行動はそのターン中できない、もしくは制限される可能性があります。また、この計画は次以降の各フェーズで相手に公開されます。つまり計画中は相手の次の行動が読めません。複数の可能性がある相手の行動を予測し、最善のものを計画しなければなりません。

プロッティング(計画を書くこと)の方法なのですが、私は結構とまどいました。大体の場合情報が足りなくなるのです。コツとしては詳しすぎる計画をしないこと、計画中に起こるであろう様々な可能性を考えること、です。コンピュータプログラムを少し組んだことがある方ならわかるかもしれませんが、計画が無限ループしてしまい処理が終わらないなんてことが起きてしまいがちなのです。

計画フェーズはCaSの肝です。頑張って慣れましょう。

機動フェーズについて

計画が終わりましたら実際に艦艇を動かしていきます。機動フェーズは艦艇だけでなく、魚雷、ミサイル、航空機が動きます。魚雷とミサイルがこのフェーズ中に目標に到達すると即座にダメージ計算に入りますが、航空機は目標の隣(直上)にとどまります。航空機に攻撃は次のフェーズで行われるからです。また、離着艦、離着陸もこのフェーズで行います。

魚雷やミサイルが当たるかどうかの判定は3分ごとの分割ではわからない場合があります。なので、3分間をさらに細かくわけて有効射程内に入っているかを確認します。私は、18秒ごと(3分の10分の1の時間)か30秒ごと(3分の6分の1の時間)のどちらかで判定しています。他にも計算で割り出せたりしますので、お好みの方法で、かつ相手が了承できるフェアな方法でやりましょう。

計画攻撃フェーズについて

計画の実りを実感できる瞬間です。事前に計画していた、砲撃、雷撃、対空防御、航空攻撃などを解決していきます。命中率には様々な修正値がありますので、必ず全て確認し、抜けのないようにしましょう。

CaSは艦艇兵装による威力にランダム性があまりありません。その代わり命中率にランダム性があります。命中すればほとんど予測できる範囲内で威力を発揮するので、威力と命中率のバランスをとる必要があります。もちろんこちらの攻撃が当たりやすくなるということは相手からも当たりやすくなるという可能性もお忘れなく。

探知フェーズについて

旧日本海軍が苦しんだといわれる索敵です。レーダーや目視によって敵を探知していきます。CaSでは比較的簡単に探知できます。探知できるかできないかの判定よりも、索敵範囲内に敵を捉えられるか、が重要になります。潜水艦の探知だけは例外で、範囲内に潜水艦がいてもなかなか見つけにくそうです(筆者は潜水艦戦の経験がまだない)。

情報が全て公開される2人プレイ(1人プレイも含め)この探知フェーズで探知できなかった対象を選択して計画することができません。それまでは事前にもらっていた行動計画に忠実に行動しなければなりません。もちろん魚雷もみえていなかったら避けちゃダメです。

◆ 蛇足コラム〜どうしても机上で索敵がしたい〜 ◆ ブラインドゲーム*1だとこのフェーズが一番盛り上がるのでしょうが、情報が全て公開されてしまっているとこのフェーズが一番納得できないものになってしまいます。第二次世界大戦中、特に太平洋では艦隊同士の砲雷撃戦よりも立体的な作戦を展開する航空機による攻撃で決着がつくことがほとんどでした。そして航空機によって攻撃するには敵よりも早く敵の居場所を把握して攻撃する必要がありました。しかし、CaSでは相手の位置がすでに公開されており、そこに向かって索敵機を飛ばせばかなりの確率で発見できます。これを解決するためにはブラインドゲームにするか、電子ゲームをするか、なのですが、意地でもCaSを机上でやりたい私はオプションルールでこれを解決しようと考えています。原案はあるのですが、誰かにみてもらったことがないので、評価はされていません。

 

応射フェーズについて

計画射撃で砲撃していない兵装や緊急の爆雷を投下できます。しかし、砲撃のダメージは通常の半分です。先のフェーズで発見した、思わぬ敵への反撃で使えますが、基本はやはり計画射撃でしっかり撃ちましょう。

解決フェーズについて

艦艇の火災や浸水に関する処理をするフェーズです。詳しくは火災や浸水の項目をみてください。

 

おわりに

以上で1ターンが終わります。これだけやってようやく3分が終わります。コマンドルスキー沖海戦が1.5時間かかったということは、これを30ターンやり続けるということです。ミッドウェー海戦のような大艦隊で2日間も戦闘をした作戦の再現なんかは骨が折れるかと思います。シナリオを選択する、もしくはシナリオを作成される方は作戦の規模と時間に注意を払う必要がありますね。

CaSの醍醐味はやはり計画にあるかと思います。計画が実際にうまくいけば嬉しいのは確かですが、上手く書けた時も嬉しいものです。

 

*1:3人目がレフェリーとなって2人が共有できる情報だけを盤上に出し、それ以外はお互いに秘匿して遊ぶルール